社長の想い

空の盃の献酬

夏目漱石の名著「こころ」のなかの言葉。空の徳利と盃を持って何回やり取りしても、それは形だけのことだけであって何の意味もない、という意。この言葉に当てはまる事柄が、いまの日本でも多く見受けられるようになりました。たとえば、テレビなどに登場する政治家の常套句(じょうとうく)でもある、正義、平和、民主主義、弱者救済等々の発言。誰も反対できないこれらの言葉を大上段に振りかざして、声高に議論を進める政治家を私は信用できません。言葉だけが独り歩きし、「空の盃」を勧められている気がしてならないからです。言葉が立派であればあるほど、私にはうつろな響きとして伝わってきます。どんな立派な言葉であっても、日ごろから真に国家のことを思い、それに沿った正しい行いをしている人の口から出なければ、聞く人の心を打つことはありません。立派な言葉を唱えながら、自己の利権や権力の座を守ることに奔走する姿は、政治への不信を増加させるばかりです。大切なことは、言っていることと、やっていることが、どれだけ一致しているかどうかということ。傲慢な態度で内容の伴わない発言を繰り返す人は「空の盃を献報している」のと同じではないでしょうか。鍵山秀三郎著

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